六本木ヒルズのヴァージンシネマで「宇宙戦争」を観てきた。観るんじゃなかった。
冒頭から粗い質感の絵は、「プライヴェート・ライアン」を思い浮かべた。そのとおり、あとはひたすらの殺戮の精密な描写。しかも戦闘と違い、相手になにもできないという。無力感にうたれ、なんでこんな思いをせにゃならんのじゃ、とスピルバーグを呪う。終わるまで緊張が解けなかった。
この手の物語のオリジナルであり、ストーリーなんて子供だって知っている(最後は、細菌にやられておなかをこわして、トライポッドから大量の下痢便がでてくる、のデス←ネタばれだ)。新しい解釈とかはなく、ストーリーに意味はない。そのためつっこみどころは満載だが、その陰惨さにどうでもよくなる。あのような馬鹿星人にあれだけのことをされる隠喩とか考えてしまう余裕すらない。
誰にもオススメしない。

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で、なかなかこの気持ちを消化できずにあちこち巡回してみて、こちらの示唆。
id:marron555:20050701(ネタばれあり)

それこそ『宇宙戦争』を源流に『トリフィドの日』や『人類皆殺し』へと連なる破滅テーマSFの空気を、この映画は正統に受け継いでいる。

なるほど、確かにそう。あれほど好きだったのに>ウィンダム。なんでそう思えなかったんだろう。なんで戦争ディティール映画へのトラウマみたいなもんに、まずひっかかったのかなぁ。
やはり映画で描かれている時代が、今、だから。キングの小説と同じことですね、たぶん。
ウェルズやウィンダム(ちょっとディッシュはちがうような気もする)の時代に生きてない以上、小説を読んでも怪奇なお話と理解してるにすぎなかったのかなぁ。この映画では、いやーこれって戦争だよね、って。で、もっとも酷い戦争をみせてあげるよ、って(ジュネーヴ協定とかない戦争という面でも酷い)。言ってないか。ないですね。

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たぶん、バラード的な破滅だったら、残念だけどしょうがないか、みんないままでありがとう、iPod聴きながら座禅組んで妄想しながら瞑想してますって気持ちになれたのかもしれない。

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あと、トライポッドが現れるまでの絵は、もうオカルトだ、と観ながら思ってた。などと思いつつも「進みすぎたテクノロジーと魔法は…」と成句も思ってた。まったく意味がちがうけど。

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あと、ほかのとこを巡回して、ラストがよく…、といった言及をいろいろみて、へー、と思った。いや、だって「宇宙戦争」ですから。

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なんかちょっと消化できたんで、寝る。「銀河ヒッチハイクガイド」がすごく楽しみだ。

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で、さらに巡回して、ダコタ・ファニングがイマヒトツとい言及もあちこちでみる。ギャーギャー煩いというのだが、いやー子供はこれくらい煩いし場面考えずパニックになったりしますです。リアル(もちろんリアル子供なわけだが)でそのせいでこっちもパニックスイッチ入りました。