Amy Rigby「The Sugar Tree」

  1. Amy Rigby「The Sugar Tree」

90年代なかばからソロ録音をリリースし始めた、Will Rigbyの元嫁なAmy Rigbyの00年の3枚目。ナッシュヴィル周辺の録音によくコーラスでクレジットされてますし、いまでもコンスタントにリリースを続けてますね。
1枚目はThe dB'sのGene Holder(こんときはNY/NJサークルのバックアップ)、2枚目はCarsのElliot Easton(こんときはプロデュース過剰)と大物がプロデュースし、この3枚目はBrad Jonesで、はじけたパワーポップ。これはよいなー。
参加メンバーも、Jonesをはじめ、Will Kimbrough、Ross Rice、Mickey Grimm、Ken Coomer、Pat Buchanan、Bill LloydにBobby Bare Jr.と98年〜00年くらいのナッシュヴィルポップシーンの中核揃い踏みという按配で、まさにこの時代のサウンドのキャプチャーとなってます。
ただし、もともとは80年代のカントリーパンク方面が出自からか、よりルーツロックなテイスト(歌唱とメロディの部分が特に)が出ていて、この数年のルーツ寄り女性SSWのラインのひとつの過去からの流れの中心にいるようにも聴こえます*1。同じような流れにあるMaria McKeeのように硬質ではなく、柔らかな彼女の声もよい。これは大事な録音になりそうだな。パワポ好きより、ルーツ好きには強く強くオススメします。

The Sugar Tree

The Sugar Tree

この面子で、こういう傾向が出てくるのも、ナッシュヴィルシーン全体が、この時期あたりからルーツ回帰へ強くシフト始めたのかもしんまい。Lucinda Williams「Car Wheels on a Gravel Road」98年の影響も強いのかも。そこらへんは、来年また聴き返してみたいな。
なんか、86年のElvis Costello/T-Bone Burnett「King Of America」とJohn Hiatt「Bring The Family」87年とPeter Caseのソロ1枚目86年あたり(そしてたぶんSteve Earle「Guitar Town」も)から始まった10年*2と、98年のLucinda/Steve Earle(そしてたぶんBeaver Nelson)あたりから始まった10年みたいなそういう話*3を、さて次の10年がそろそろ?みたいな話をからめて、だれかおっさんとしたいなぁ。
次の10年がそろそろとしたら、その録音の兆しはどれ、みたいなのは若いひとにきいてみたいとこです。
補足。えーと、これは、その盤からそういう音楽が始まったというより、表出して大きな流れが見え始めた、という意味くらいですデス。というより自分が気がついた、あたりか*4

*1:だいたい米国パワーポップに流れには、カントリーロックが強く影を落としているのことは、ヴェルクラあたりが好きなひとには共通してある認識だしょう

*2:そして、86年というのは、パンクからおよそ10年くらいという、ね。それがパンクシーンから出てきたたElvis Costelloで見えてきてるというこの自分の興奮する感覚

*3:さてここでUncle Tupero「No Depression」90年までの5年とからの5年という区切り感覚ですわ。ついでにいうと、Ryan Adamsの1枚目00年までの5年(Bloodshotの5年ともいえる)とからの5年という区切り感覚ね

*4:さらに蛇足。自分はポストパンク・ルーツロックいいすぎかもしれませんが、Alejandro EscovedoやJDGはどこから出てきたのか、とか。The Resentmentsのアルバムクレジットに、John Chipmanが録音のときにパンクラジオかけててよー、みたいな記述(うろ覚え)をみたときのニヤリ感とか