The Thieves「Seduced By Money」88年

Gwil Owen新作応援、というわけでもないが、Owenにからんだ録音の紹介を少しづつ。
70年代の後半にカレッジの学生だったというから、ナッシュヴィルに(前のボストンでのバンド*1でいっしょだった古い友人のJeff Finlinとともに)83年に越してきたときは、もうそんなには若いとは言えない年齢だったかと思う。
*2

OwenがJeff Finlinとともに、ナッシュヴィルで結成したのが、The Thieves。88年にCapitolから1枚リリースのリリースがある。編成は、Gwil Owen(vo,ac-g,g)/Jeff Finlin(ds,vo)/Bart Weilburg(g)*3/Kelly Looney(b)*4。それに、Steve EarleLambchopの録音の常連のTony Crow(key)が参加し、プロデュースはホボーケン界隈のMarshall Crenshaw。収録全10曲が、Owen作。
基本的なサウンドは、Weilburgのドライブするハードロック調のギターが前に出たロックンロール(で、80年代的な残響がかかったドラムの音や単調なリズムが懐かしい…)。同時代的には、ハードコアからの爆発前夜で、ルーツロック的には、Steve Earle以降なわけで、それらから比べても、明らかにメジャーな音で、古臭いっちゃそう。
これが飽きないのが、Owenのトレードマーク的な[1][7][8]のような、ちょっとノヴェルティな雰囲気もあるアップテンポなロックンロールと、Weilburgの動き回るギターの相性(最近でいうなら、Bobby Bear Jr.とかそんな感じ、か)。
そこに、メランコリックな泣きのギターのラインと微妙に解決しないヴォーカルのウェットなメロディラインの配置が堪えられない、名曲(自分)な[2]。あるいは、ハードロックギターでカントリー風という楽しい[5]などが挟まる。[10]も、ちょっとメランコリックなリードの青春な感じで、こういうのに弱いのな。

シーンに対してどうとかいう録音じゃないけど、確実に同時代にルーツロックを追ってた人間の記憶には残った(はず)。カット盤とかなら入手可能だと思うです。

*1:彼のサイトによると「細いネクタイのニューウェーヴバンド

*2:左から2番目がOwen。左端はFinlin

*3:現在でもナッシュヴィルで活動中

*4:Jeff Finlinと最近でもいろいろやってる