先日Forced Exposureに注文したCDが届く。さっそくゲイリー・ウィンドのレア/未発表トラック集「His Master's Voice」96年 Cuneiformから聴く。
英国のマルチリード奏者で、若いひとには、たぶん、80年代のハル・ウィルナー関連の録音で、トッド・ラングレンとやってたひとということでおなじみか(なんでこのコンビかはまったく知らない)。そうでもないか。
70年代のフリー/アヴァン領域で幅広く活動していたひとで、このコンピにも、モンゲジとのシンビオシスの71年の短い曲を皮切りに、ヒュー・ホッパーやロル・コックスヒルとの72年のクールなジャズロック(まるで80年代ビル・ラズウェルのプロデュースのような)、キース・ティペットやキング・クリムゾンのグループともメンバーがクロスする73年のブラザーフッド・オブ・ブレスとのサーカス伴奏とアイラーが合体したような録音、カーラ・ブレイがらみのバーデン・バーデン・ワークショップの76年のR&B→フリーのような録音2曲などが収録されている。
リーダー名義の録音だと、いかにも70年代後半のロックとジャズの折衷的なセッション(801とかさ)のスチーム・レディオ・テープス(ヒュー・ホッパーやリチャード・ブラントンにピーター・ヴァン・ホック、スティーヴ・ヒレッジ、ビル・マコーミック、ピンクフロイドのニック・メイソン、ジュリー・ティペットやワイアットの名前まである)が3曲。
カーラブレイのピアノとのデュオ(これは素晴らしい。こういうフォーキーな音楽は昔から大好きだ)が2曲。
ティーヴ・スワロウを加えたドラマティックでわかりやすいポップと、フリーの折衷(いかにもポストパンクの一側面の代表と思える)な彼のクァルテットの79年の録音(ストラングラーズの曲とかやってるよ)が4曲。
その延長のような80年代のバンドはサイケデリック・ファーズとアイラー「Ghost」(アイラー本人と比べてはいけない。リスペクト感覚と時代性以上のものはないです)をやってる。3曲。
こう並べて聴いていると、このひとの確固としたテナーの音色、アイラーのようにウォームで、時にユーモラスなその音に惹かれていく。英国なのに根はR&B体質な感じもして、頭だけで音楽やってないなーとか思う。
まあ、歴史のお勉強以上に楽しい録音集で、パワーもある。祭り上げる必要はないが(されてないし)、無視しておくのも、もったいない。
His Master's Bones