V/A「Nothing Left To Lose A Tribute To Kris Kristofferson」02年

Altカントリー領域のミュージシャンによるKris Kristoffersonのトリビュート盤「Nothing Left To Lose A Tribute To Kris Kristofferson」Incidental Music 02年を聴く。
Nothing Left to Lose: a Tribut*1
主にシカゴとベイエリア界隈からの参加者なだけにストレートな味わいではありません。曲間がかなり短いのは面白い。

  1. Handsome FamilySunday Morning' Comin' Down」シカゴのゴシックめいた印象のあったHandsome Familyですが、雰囲気といい歌唱といい、Kristoffersonそのものです。うっすらとオルガンが寄り添う微妙なホーリー感がすばらしい。
  2. Souled American「Please Don't Tell Me How The Story Ends」彼ららしい、スロウで、半ドローン化しているようなとこもあり、時間間隔が引き伸ばされてる演奏。でもまるで「Sonny」のころのような演奏で、「Notes Campfire」や「Frozen」はまったく意図的だったと確認できたのが自分にとって大きい収穫。
  3. Califone「Border Lord」シカゴのエクスペリメンタルフォークなひとたち。ヒプホプめいたリズム、巧みな遠近のサウンドの配置。
  4. Diana Darby「Jesus Was A Capricorn」ウィスパー声のナッシュヴィルの女性SSW。彼女の声と素朴なギターにMark Spencerのまた音数の少ないベースと浮遊するうっすらとしたオルガン、Ken Coomerのベルとフットペダルくらいの打楽器という空間を持った演奏。
  5. Rebecca Gates with Califone「Nobody Wins」ポートランド/シカゴの元The SpinanesなRebecca GatesとCalifoneの顔合わせは意外性はない。サウンドもちょっといかにもすぎかな。
  6. Calexico「Casey's Last Ride」CalexicoとKristoffersonの曲ってのは想像するだにバッチリなんですが、聴いてみてまた惚れ惚れとするような出来ですね。弦も入るドラマティックな展開に反するような、独り言のような歌唱。
  7. The Court And Shark「For The Good Times」カリフォルニアのGranfaloon Busともメンバーがかぶる、ダルなカントリー風味のルーツロックバンド。
  8. Zmrzlina With Milk Chopper「Me & Bobby McGee」んー知らないひとたち。西海岸の2つのバンドの合体のようです。ルーツロックの語彙に、ややエクスペリメンタルな風味と弦が入っているという自分好み(ええ、こういう折衷が大好きなんですよ)。あとで調べてみよう。
  9. Radar Bros.「Help Me Make It Through The Night」いつものぼわぼわしたコーラスと霞がかかったようなサウンド
  10. Deanna Varagona「Burden Of Freedom」ナッシュヴィルのLambchopのVaragona(g,vo)に、Jimmy Early(ds)/Jason Labrosse(upright)/Steve Doroke(pedal-steel)という面子。音はどっしりとしたカントリーバラード。語尾が空間に消えていってしまうような切なさと、ゆったりとしながらも切実なバンドのサウンドに煽られ耐え切れず絞りだす声。すばらしい録音。
  11. Creeper Lagoon「Why Me」聴くのは初めてなサンフランシスコのバンド。しゃがれ声のストレートなカヴァー。
  12. Granfaloon Bus「Kiss The World Goodbye」Granfaloon Busも、Kristoffersonの曲は嵌るだろうと思ってましたが、自分たちの曲と変わりませんな。ダルな歌唱とリバーブが効いた音響とカントリーサウンド
  13. Virgil Shaw and The Killer Views Band「Just The Other Side OF Nowhere」サンフランシスコのカントリーめいたグランジというかなんか変な音楽をやるDieselhedのVirgil Shaw、ほかDieselhedのメンバー関連。あっけらかんと歌いました。
  14. Richard Buckner「Lovin' Her Was Easter (Than Anything I'll Ever Do Again)」本人(vo,g,perc)にJD Foaster(b)/Eric Heywood(pedal-steel)という編成。これはBuckner色が出すぎな気がして「あ、そう」という感じ。
  15. Crooked Jades「Shipwrecked In The Eighties」知らないグループだけど、最近のブルーグラスバンドのようですね。もろそういう感じ。
  16. Howe Gelb「The Pilgrim (Chaper 33)」当人によるアコギ弾き語りのライブで、ピアノが若干かな。これがKristoffesonそっくりですよ。
  17. Grandaddy「Best Of All Possiible Worlds」実は聴いたことがありませんでしたGrandaddy。たぶん彼ら標準なエモ的な演奏。

総じて想定内な感じではありますね。まあKristoffesonのオリジナル自体がかなり変なプログレッシヴな感じですし。Calexico/Howe GelbやGranfaloon BusやSouled Americanでの嵌り具合とかったらないし。
文脈と関係ないですが、Deanna Varagonaはソロ作買おう。ナッシュヴィルのオーセンティックな音楽の感覚が肉体化された上での、アルタネーティヴさ加減みたいなものを感じます。

*1:←スペル違うけどたぶんこれか。って安いじゃん。英国アマゾンまで探しにいってしもうた…