Robert Plant & Alison Krauss「Raising Sand」07年

なんともすばらしい。ため息出まくり。

録音は、ナッシュヴィルとLAとハリウッド。レーベルはRounder。で選曲はカヴァーばかり、Canned Heat、Every Brothers、Hollies、Byrds、Townes Van Zandt、Doc Watson、Little Miltonという60年代からこっち、という次第(Tom WaitsとかJohn Prineとかもある)。

ボストンのフォークシーン出身のJay Bellerose(ds)と、ナッシュヴィル一押し(自分が)のセッションマンDennis Crouch(acc-b)というリズム部隊を据え、ギター数本(BurnettとMark Ribot)というコンパクトな固定の編成(2曲でNorman Blake、1曲にMike SeegerとRily Baugus、別な1曲にPatrick Warren)で、古今のカヴァーを、ややライトに、乾燥したようにあっさりと演っている。このギターも含めたリズムがすばらしく、ずーっと聴いていたい。TVZ「Nothin'」だけは表情が異なり、重く感動的*1

なんとなく、大西洋を越えて英国にもようやく「O Brother」がたどり着いたんか、とか思っていたが、いやいやこれはそういう後追いの企画(の可能性はややあるが、そのレベルの)ものじゃない。聴いてて、最初に思ったのは、曲の扱いがYo La Tengoに近いな、だった。コレクションケースの中身を見せるような。しかしリヴァイヴァルではなく、外挿のようなもので。

ヴォーカルの押し出しの弱さがPlantのらしからぬところで、しかし反って本人の主体と本気を感じる。
この録音は、Plantがやりたくなり、T-Bone Burnettの助力を仰いで、Alison Kraussと出会ったということではないか。想像だが。*2。→はずれ。Leadbellyのトリビュートコンサートで出会ったのがきっかけだってよ。
で、なにをやりたかったのか。それは現在の音楽のキャプチャだと思うデスよ。自分の音楽マニアとしてのコレクションを、現在の音楽のひとつである、フォーク/カントリーに、外挿してみせた。そういうことじゃないですかね。Rounderによる画策という線も捨て切れないが、結果オーライで。
なんかよくまとまんないけど、自分はこれは買いで正解だった。巡回先に感謝。

Raising Sand (Ocrd)

Raising Sand (Ocrd)

*1:そう今年は10年目なんだ

*2:で2名のからみがまたちょっとエロいのもいいデスね。こういうエロさは、Steve EarleやBilly Joe Shaverじゃでない(当然か)。違うエロさはKris Kristoffersonなら出そう