V/A「Nashvill The Other Side Of The Valley:Insurgent Country Volume3」

96年に出たBloodshotのインサージャント・カントリーのコンピ第3弾(カタログ番号は14まで増えた)。今回はナッシュヴィルのミュージシャンに焦点をあてている。
いままでと違うのは、やはり洗練さ、でしょうか。シカゴの性急な(手っ取り早いって感じか)姿勢とは違う感じ、でわかりますでしょうか。その分、勢いは薄いが、深みがある。

  1. Tom House「The Hank Williams Memorial Myth」
    1. 90年代初頭からレコーディングを始めた詩人/SSW。初期のカセットテープでのリリースからと思われる録音から収録。97年に最初のアルバムがシカゴのCheckered Pastから出ました。これは、Tommy Goldsmithの歪んだボトルネックギターだけを少しだけいれた、スポークンワード作品。
  2. Tim Carroll「Open Flame」
    1. 本人(vo,g)/Richard Price(b)/Paul Grifith(ds)/Joan Osborne(vo)。パンクマニアには元Gizmosに参加してたひと、で通じるかどうか。90年代からは、ナッシュヴィルで活動し、今ではThe Blue Chieftainsとか(これもマイナーすぎか)。後年Todd Sniderの録音で名前をみたこともある。ややレイドバックしたごきげんなルーツロック。共同プロデュースがSteve Allenだったりする。
  3. Phill Lee & The Sly Dogs「Daddy's Jail」
    1. けっこうなヴェテランだが、自分のレコーディングがアルバムとしてリリースされたのは、99年のこと。ロックンロール的なカントリー。
  4. Paul Burch & His Honky Tonk Orchestra「Your Red Wagon」
    1. Lambchopで著名なBurch(vo,g)にGreg Stearns(g)/Jason Carter(fiddle)/Paul Niehaus(pedal steel)/Markie Sanders(b)という編成で、いつものとおりかなりオーセンティックなカントリーを、自身のクルーナーな滑らかな声でやる。
  5. R.B. Morris「Roy」
    1. この翌年にナッシュヴィルのレーベルOh Boyからデビューアルバム*1をリリース(この曲は含まれていない)するR.B. Morris。本人(vo,g)とPeter O'Hanlon(g,harmonica)のみのゆったりとしたカントリーバラード。
  6. Hayseed「God-Shped Hole」
    1. Hayseedはバンドじゃなくてシンガーの名前。フィドル入りのオーセンティックなアコースティックなカントリー。
  7. Sonny George & The Tennessee Sons「Hilbilly Train」
    1. ザ・キングがかった声のSonny Georgeの、タイトルどおりなトラック。Kenny Vaughan(g)/Mark W. Winchester(b)/Steve Ebe(ds)と90年代ナッシュヴィルシーンではおなじみのミュージシャン参加。
  8. Jason & The Scorchers「One Last Question」
    1. 有名カウパンクなJason & The Scorchersですが、実際はハードロックテイストのシンプルなロックンロール。あまり聴いたことないんです。
  9. Duane Jarvis「Cocktail Napkin」
    1. この頃から変わらずヨレヨレ声の放浪のひとDuane Jarvisがナッシュヴィルにたどり着いたのもこの頃。切ないカントリーロック。98年に出る2枚目の同曲と同じテイクのように思える。この2枚目はぜひ聴いてもらいたいとこです。Gary Tallent(g,b)/Steve Allene(key)/Paul Grifith(ds)。
  10. Lambchop「Whitey」
    1. まいどのKurt Wagnerのぶつぶつ声とからむ幼いようなDeanna Veragonaを包み込む、夢のようなサウンド。アルバム未収録。
  11. Tom House「Cole Durhew」
    1. 本領発揮の弾き語りの田舎ディランな力強いカントリーフォーク。
  12. Royann Clavin「Try It Again」
    1. ぜんぜん知らない。ちょっとAllison Krausっぽいとこある女声シンガーによるカントリーフォークサウンド
  13. Dan Baird「Lonely At The Top」
    1. Georgia Satellitesという必要はないでしょう。当時は、2枚目のソロが出たあたりで、でも録音面子はKeith Christopher(b)/Mauro Magellan(ds)/Terry Anderson(vo)/Brendan O'Brien(vo,g,prod)という感じ。1枚目のアウトテイクかな。
  14. Greg Garing「Safe Within Your Arms」
    1. Paul Burch/Kenny Vaughan/Peter O'Hanlon/Paul Niehausなど参加でBurchもびっくりのオーセンティックなカントリーサウンドだが、実は自身の唯一のアルバムは、もっと当時の最新型のコンテンポラリーでメジャーな音なので(バックメンバーも違う)、この録音がどういう経緯でされたのか首をひねる。
  15. Kristi Rose & The Handsome Strangers「Rise And Shine」
    1. 女声のカントリースウィング。
  16. Lonesome Bob「The Plans We Made」
    1. Ben Vaughnのバンドでドラムを叩いていたLonesome Bob。昨年Gurf Morlixの音を覚えたときに、最初に思い浮かんだのがこの人で、さらにMorlixの1枚目に興味あるひとたちって感じでクレジットされていた(っけ?)ひとりがLonesome Bobだった。フォーク/カントリーに根ざし、太く誠実に歌うのみ。この曲は、翌年Checkered Pastからリリースされる1枚目に収録されている。本人(vo,g)/Elizabeth Lee(vo)/Tim Carroll(g)。
  17. Gwil Owen「No Ammunitiion」
    1. 出ましたGwil Owen。得意のバンドがグルーヴしまくるロックンロールです。93年のカセットリリースに同名曲があるが、同じテイクかどうかはわからない(その可能性は高い)。Owen(vo/g)/Tim Krekel(g)/Garry Tallent(b)/Dave Durocher(ds)/Bobby Taylor(harimonica)。
  18. Courtesy Move「Those I'll Provide」
    1. Jay Bennett(g)/John Stirratt(g,vo)/Ken Coomer(ds)/Robert Logue(b)といったメンバーの1名除いて当時のWilcoのサイドプロジェクト。ややグランジがかった大時代なルーツロックといった趣。

Insurgent Country, Vol. 3: Nashville, The Other Side Of The Alley

Insurgent Country, Vol. 3: Nashville, The Other Side Of The Alley

以上でこのシリーズは終わり。次も同じ時期(91〜96年くらい)の録音を棚から出してきます。

*1:Al KooperやLucinda Williamsも参加