Cracker「Kerosene Hat」Virgin

Camper Van Beethovenを90年に解散して、David Lowery(vo,g)は92年にCrackerの1枚目を出す。
カリフォルニアらしいサイケデリック/プログレ/アートロック/カントリー/フォーク/フォークロアを混合した現代的なCVBの音楽とは異なり、新しいパートナーJohnny Hickman*1のややエッジの効いたリードギターサウンドの中心のストレートなアメリカンロックで、この2枚目は、その路線からさらに濃いルーツロック嗜好が曲に出るようになる。しかし、サイケリヴァイヴァル的な隠しトラックもあるように、全体の印象は、広くロック的なスタンス。
1枚目では、Lowery/Hickmanに当時無名のDavey Faragher*2(b,vo)に、ゲスト*3という面子でしたが、2枚目は3人とMichael Urbanoのドラムにほぼ固定*4
ひとつ重要なのは、この2枚目が米国では百万単位のメジャーなセールスをあげたということ*5
現在ではインディーに戻っているが、当時のメジャーフィールドにいながらにして、多様なルーツロック寄りなインディー領域のミュージシャンとのサイドプロジェクト的リリースしていくような姿勢をLoweryは持っているが、売れたからこその行動でもあったと思う。90年代のシーンの厚みを支えていた一人でもあった、か。

Kerosene Hat

Kerosene Hat

90年代前半のルーツロックの極端な一端ですが、必携とも思えるアイテムです(3枚目4枚目のほうが廃人関連には評判がよいが)。

*1:Loweryの幼馴染みで、かつてJoe ElyやWillie NelsonやMerle Haggardとジャムってたこともあるらしい

*2:近年はJohn HiattElvis Costelloのサポートもするようになってますね

*3:Jim Keltner/Benmond Tenchとか

*4:2枚目録音の際に、当時Poi Dog PonderingのBruce HughesとPixies解散後のDavid Loveringを呼ぼうとしたと読める、ネット上の94年のRox Magazineのインタビュー記事が興味深い。http://www.joabj.com/Music/9401Cracker.html

*5:たぶん、サウンドよりもLoweryのトリッキーな歌詞のほうで、じゃないかなと思う