Beaver Nelson & Scrappy Jud Newcombの東京公演へいってきた

新中野弁天での、Beaver Nelson & Scrappy Jud Newcombへいく。激しく心を揺さぶられてしまい、(いつものごとく)冷静には書けないし、1曲を除いてなにしろ曲目をまったく記憶できていないし。あ、予約順に前のほうの席が用意されるようになってた>弁天。
外で待っていると、二人がやってくる。Scrappyでけぇ。Beaverはジャケのとおりよれよれのコットンシャツにだぼっとしたジーンズにぼさぼさの頭。Scrappyはミュージシャンぽいタイトなシャツを胸まではだけて、タイトなパンツ。
予定の8時をちょっとすぎて、始まる。新作を聴かずにきたわけだが、まったくの不安はなかった。このガリガリのボサボサ頭の男の書くメロディといったら、死にそうなくらい胸をかきむしるようなものなのだ。はたして、最初の3曲ほどは新曲。そして、一瞬にして彼の声に惹きこまれてしまった。
向かって、右に腰だめにエレキを構えたScrappy、Gurf Morlixのときもサポートした左に安倍王子ベースに背後に夏秋ドラム、中央に傷だらけのアコギをかかえ、足をぴったり揃えて顔を歪めて歌うBeaver Nelson。バランスは良くないし、カウントはScrappyがとりつつもなんかぎこちない。が、それがかえってガレージっぽく、スタジオの録音のある種行儀よさをとっぱらった感じで、ざっくりと生々しい。
途中から昔の曲もがんがんやる。よい。よいんだが、あらあらというバンドの息だったような気もして、自分は欲求不満に。もう、Scrappy、もっと弾いてくれよ!そこに、1セット目最後の曲で2コーラスも燃えるような指弾きのシングルノートのぶっといギターソロ投入で、くぅうううという感覚で終える。1時間弱くらい。
セカンドセットは、ギタートリオでのScrappyが歌う3曲で始まる。このエレキがほんとに燃える。ジャジーな2曲目のあと、3曲目のボトルネック爆発のスワンピーなチューンで頭真っ白になる。途切れなくBeaver再登場だが、説得するような歌唱(たぶん「Mad River」)のあとを受けて、Scrappyのボトルネックが駄目を押すようにメロディをなぞると、震えがくる。二人の声のあわせる姿に、強固な絆を感じる。
で、間をおかず、「Remnant」を始めやがる。自分の1999年のベストソングで、オールタイムのベスト10に入る曲なんだ。アルバムと同じように自身のアコギと声だけで始まり、バンドが入るそのときに、唐突に不覚をとる。目がぬれてるなんてもんじゃなくて、顎までつたってシャツが濡れちまう。肯定的でいて、でもなにか切羽詰ったようにBeaverが歌い、曲にあわせ、飛び跳ねる。必死でがまんしたが、くそ、俺を煽るのはやめてくれ、Scrappy…。そのあとは、すべてががちっと合い、アンコールのステージから火が出そうなアップテンポ曲(「Stray Dog」?「Eleven Again」?うー記憶がひどい)まで、息を止めて見つめる。

客電がつき、しばらくしてから、やっとのことで外に出る。お客が少ないことに軽く驚いていたが、そんなことはどうでもよかった。東京なんてそんなもんだ。くそくらえ。
駅の近くまで歩いてから、新譜買うの忘れたことに気がつく。帰りの道すがら、iPodに入ったBeaverの曲を聴くも、「Remnant」はスキップして避けた。地元の駅を降りてから、聴いてみた。すべてが蘇り、それはそのステージだけではなく、98年の「Last Hurrah」からの自分のいろんなことが暗い道を歩きながら反芻され、顔の穴から流れ出した。家につき、ドアを開けると、お父さんに戻り、不思議と涙が止まったのがおかしかった。
すべてのミュージシャンに感謝しながら、とりあえず更新おわり。